日本各地の縁起物と、その土地の物語を。

2026.10.17 | 読了 約6分

十二支の由来と動物の順番|神さまのかけっこと猫の昔話

夜明けの澄んだ空の下、野山の道を十二支の動物たち(ねずみ、牛、虎、うさぎ、竜、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪)が仲よく駆けて

「今年は何年(なにどし)?」と話題になる十二支。子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)と、12の動物が順番に並んでいます。この順番は、どうやって決まったのでしょうか。この記事では、十二支の順番にまつわる昔話と、十二支のもとになった暦の考え方、干支を暮らしの中で楽しむヒントをご紹介します。

朝もやの中、山の上の御殿へと続く一本道
神さまのもとへ続く道

神さまのかけっこ:十二支の順番の昔話

十二支の順番については、日本で広く知られている昔話があります。地域や絵本によって細かいところは違いますが、おおよそ次のようなお話です。

「元日の朝、早く来た順に」

昔々、神さまが動物たちにお触れを出しました。「元日の朝、わたしのところへ新年のあいさつに来なさい。早く来た順に12番目までを、一年ずつその年の大将にしよう」。

動物たちは、われ先にと準備を始めました。

牛の背中に乗ったねずみ

足の遅い牛は、「わたしは歩くのが遅いから」と、まだ暗いうちから出発しました。それを見ていた小さなねずみは、こっそり牛の背中に飛び乗ります。

牛が一番乗りで神さまの御殿に着こうとしたその瞬間、ねずみは背中からぴょんと飛び降りて、先に門をくぐりました。こうして、ねずみが1番、牛が2番になったといわれます。

続いて、足の速い虎、うさぎ、竜、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬が到着。最後に、途中で寄り道をしたり、勢いあまって通り過ぎたりした猪が12番目にすべりこんだ、と語られています。

猿と犬と鶏

猿と犬はとても仲が悪く、道中でけんかばかりしていたため、間に鶏が入って仲裁したので、猿・鶏・犬の順番になった、というお話もあります。「犬猿の仲」という言葉とあわせて語られる、楽しいエピソードです。

夜明け前の道を歩く牛の背中に小さなねずみが乗っている様子
牛の背中に乗ったねずみ

なぜ猫は十二支に入っていないの?

十二支の昔話でよく語られるのが、猫のお話です。

ねずみにだまされた猫

神さまのお触れを聞きそびれた猫は、ねずみに「いつ行けばいいの?」と尋ねました。ねずみは、わざと「1月2日だよ」と、一日遅い日を教えたのです。猫が2日に神さまのもとへ行くと、もう十二支は決まったあと。それ以来、猫はねずみを恨んで、追いかけるようになった――そんなお話が伝わっています。

ほかの説も

猫が十二支に入っていない理由については、昔話のほかにもさまざまな説があります。十二支が生まれた古代の中国では、猫が身近な動物ではなかったから、という説もそのひとつです。

ちなみに、ベトナムなど一部の国では、うさぎのかわりに猫が十二支に入っているといわれます。国によって十二支の動物が少しずつ違うのも、おもしろいところです。

十二支のもとになった暦の考え方

昔話は楽しいものですが、十二支そのものは、古代中国で生まれた、年や月日、時刻、方角などを表すための考え方です。もともとは、12の区切りを表す記号のようなもので、そこにあとから身近な動物が当てはめられたとされます。動物を当てはめることで、人々が覚えやすくなったと考えられています。

十二支は、日本にも古くに伝わったとされ、年や方角、時刻を表すのに使われてきました。

  • 時刻:真夜中を「子の刻」、正午を「午の刻」と呼んだことから、「正午」「午前」「午後」という言葉が生まれたといわれます
  • 方角:北を「子」、南を「午」とし、北東を「丑寅(うしとら)」と呼ぶなど

また、十二支に「甲・乙・丙……」の十干(じっかん)を組み合わせたものを干支(えと)といい、60通りの組み合わせがあります。60年でひとめぐりして生まれ年の干支に還ることから、60歳のお祝いを「還暦」と呼ぶのです。

十二支の動物が出てくることわざ

十二支の動物たちは、昔からたくさんのことわざや言葉に登場してきました。いくつかご紹介します。

動物ことわざ・言葉意味
ねずみ窮鼠猫を噛む追いつめられた弱い者が、強い者に反撃すること
牛鶏口となるも牛後となるなかれ大きな集団の後ろにつくより、小さな集団の長になるほうがよい
虎虎の威を借る狐強い者の力を頼りにいばること
うさぎ脱兎のごとく非常にすばやいようす
竜竜頭蛇尾始めは勢いがよく、終わりはふるわないこと
馬馬の耳に念仏いくら言い聞かせても効き目がないこと
猿猿も木から落ちる名人でも失敗することがある
猪猪突猛進目標に向かって、まっしぐらに突き進むこと

こうした言葉を知ると、十二支の動物たちがいっそう身近に感じられます。その年の干支にちなんだことわざを、年賀状のひとことに添えてみるのも楽しいですね。

干支を暮らしで楽しむ

十二支は、毎年めぐってくる身近な暦です。暮らしの中で、こんなふうに楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • 干支の置物を飾る:その年の干支の置物や土鈴を、お正月に飾る
  • 生まれ年の干支のお守りを持つ:自分の干支の小物を、お守りがわりに
  • 年賀状に:その年の干支をモチーフにしたデザインで
  • 贈り物に:生まれ年の干支の置物は、出産祝いや長寿のお祝いにも

各地には、その土地ならではの素材や技法で作られた干支の郷土玩具があります。毎年ひとつずつ集めて、十二支をそろえる楽しみ方もありますよ。

棚に並べられた素朴な干支の土鈴と郷土玩具
干支の郷土玩具を集めて

まとめ

  • 十二支の順番は、神さまのもとへ早く着いた順に決まったという昔話が伝わっている。
  • ねずみは牛の背中に乗って一番に。猫はねずみに一日遅い日を教えられて、十二支に入れなかったと語られる。
  • 猫が入っていない理由には、古代中国で猫が身近でなかったという説もある。
  • 十二支は、古代中国で年や時刻、方角を表すために生まれ、あとから動物が当てはめられたとされる。
  • 干支の置物や郷土玩具を飾ったり集めたりして、暮らしの中で楽しめる。

むすびのひとこと

神さまのもとへ急ぐ動物たちの姿を思い浮かべると、なんだかほほえましくなりますね。足の遅い牛が早起きしたように、それぞれのやり方で前に進めばいいのだと教えてくれているようです。あなたの干支は何ですか?ご縁、むすんでおきますね。

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ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
明日が、すこし楽しみな一日になりますように。

縁
読みもの1本につき、印をひとつ。

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