日本各地の縁起物と、その土地の物語を。

2026.10.17 | 読了 約6分

だるまの目はどっちから?目入れの意味と由来をやさしく解説

冬の澄んだ青空の下、山あいのお寺の石段に、大小さまざまな赤いだるまが並んでいる情景

選挙で当選した方が、だるまに目を入れる場面をテレビで見たことはありませんか。だるまは、願いをかけて片方の目を入れ、願いが叶ったらもう片方の目を入れる縁起物です。でも、いざ自分で目を入れるとなると、「どっちの目から入れるの?」と迷ってしまいますよね。この記事では、だるまの目の入れ方とその意味、だるまの由来、色や飾り方についてご紹介します。

片目だけ入った赤いだるまが窓辺に置かれた様子
願いをかけた片目のだるま

だるまの目はどっちから入れる?

一般的には、だるまから見て左目(向かって右側)から入れるとされています。そして願いが叶ったら、残りの右目(向かって左側)を入れます。

「左目」と聞くと、つい自分から見て左側に描いてしまいそうになりますが、だるまの左目は、向かい合ったときの右側です。間違えやすいので気をつけてくださいね。

左目から入れる理由とされる説

左目から入れる理由には、いくつかの説があります。よく紹介されるのは、陰陽五行の考え方にちなむ説です。だるまを南向きに置くと、左目は東、右目は西にあたります。物事は東から始まり西で終わる、という考え方から、始まりの「東」にあたる左目に先に入れる、というものです。

逆の順番や、両目を入れる場合も

ただし、目入れの順番は地域や寺社、家庭によって違いがあります。合格祈願などで右目から入れる地域もあるといわれます。また、家内安全や健康祈願など、「叶ったら終わり」ではない願いの場合は、はじめから両目を入れることもあるそうです。

だるまを授かったお寺やお店に、そこでの習わしを聞いてみるのもよいですね。

目を入れるのはなぜ?目入れに込められた意味

だるまの目入れは、「願いを込める」ことと「願いを叶える努力を続ける」ことの両方に意味があるとされます。

片目だけのだるまを目につくところに置いておくと、毎日そのだるまに見つめられているような気持ちになります。「まだ叶っていない願いがある」と思い出させてくれる、いわば目標を見守ってくれる存在なのです。

もともとは、養蚕の盛んな地域で、春の蚕がうまく育ったら片目を、秋の蚕もうまくいったらもう片方の目を入れた、という話も伝わっています。暮らしの願いと、だるまが深く結びついていたことがうかがえます。

目の入れ方のポイント

  • 墨や筆ペンなど、黒で丸く塗りつぶすのが一般的
  • 願い事を心の中で唱えながら、ていねいに入れる
  • 底や背中に願い事や日付を書き込む方もいる
職人の工房に並ぶ目の入っていない赤いだるま
目のないだるまに願いを

だるまの由来:達磨大師と高崎だるま

もとになったのは達磨大師

だるまは、禅宗を開いたとされるインドの僧・達磨大師(だるまたいし)の坐禅の姿をかたどったものとされます。達磨大師は壁に向かって長い年月坐禅を続け、その間に手足が使えなくなったという伝説があり、手足のないだるまの姿はこの話に由来するといわれます。

倒してもすぐに起き上がる「起き上がり小法師」の仕組みと結びつき、「七転び八起き」の縁起物として広まっていきました。

高崎だるまの言い伝え

だるまの産地として知られるのが、群馬県高崎市です。高崎市の少林山達磨寺に伝わる話では、江戸時代、天明の浅間山の噴火や飢饉で人々が苦しんでいたころ、寺の住職が達磨大師の姿をもとに木型を作り、農家の冬の仕事として張り子のだるまづくりを教えたことが始まりとされています。

いまも高崎では多くのだるまが作られ、毎年お正月には少林山達磨寺でだるま市が開かれます。

願いが叶ったら?だるまの納め方

願いが叶って両目を入れただるまや、一年間見守ってもらっただるまは、どうしたらよいのでしょうか。

寺社に納める

多くの場合、だるまはいただいた寺社に納め、お焚き上げをしてもらいます。お正月のどんど焼き(左義長)など、正月飾りを焚き上げる行事で一緒に納める地域もあります。いただいた寺社が遠い場合は、近くの寺社で受け付けているか確認してみてください。受け付けていない場合もあるので、事前に問い合わせると安心です。

一年ごとに新しいだるまを

だるまは一年ごとに新しいものに替えるという考え方もあります。毎年同じだるま市で、前の年より少し大きなだるまを求める方もいます。「去年よりも大きく成長できますように」という願いを込めた、楽しい習わしですね。

感謝の気持ちを込めて

納めるときは、「見守ってくださってありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えましょう。願いが叶っても叶わなくても、一年間そばで見守ってくれただるまに、お礼を言って送り出すことが大切です。

叶った願いの記念に、手元に残しておきたいという方もいるでしょう。決まりごとはあまり気にしすぎず、自分の気持ちに合った方法を選んでくださいね。

だるまの色の意味と、飾り方・贈り方

だるまといえば赤が定番ですが、最近ではさまざまな色のだるまがあります。

色込められてきた願いの例
赤魔除け、厄除け(定番の色)
白合格、開運
金金運、商売繁盛
黄金運
緑健康
ピンク恋愛、ご縁

色の意味は、作り手やお店によって少しずつ違います。願い事に合わせて選んでみてください。

飾り方のヒント目につくところに、願い事を思い出せるように飾るのがおすすめです。神棚や棚の上など、少し高い場所に置く方も多いようです。

贈り物にするなら受験を控えた方への応援、開業・開店のお祝い、新年のご挨拶などに、だるまはぴったりです。目入れを相手にお任せして、「願いが叶いますように」とひとこと添えると、気持ちが伝わります。

棚の上に並べられた色とりどりの小さなだるま
願いに合わせて色を選ぶ

まとめ

  • だるまの目は、一般的にはだるまから見て左目(向かって右側)から入れ、願いが叶ったら右目を入れる。
  • 順番は地域や寺社によって違い、はじめから両目を入れることもある。
  • だるまは達磨大師の坐禅の姿がもとになったとされる。高崎だるまは、飢饉の時代に農家の副業として始まったと伝わる。
  • 色ごとに込められた願いがあり、受験や開業、新年の贈り物にも選ばれている。

むすびのひとこと

だるまさんの片目は、「あなたの願いを、ちゃんと見ていますよ」という合図のように思えます。叶ったときに両目がそろう瞬間は、きっととても晴れやかでしょうね。その日まで、わたしもそっと応援しています。ご縁、むすんでおきますね。

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for you

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
明日が、すこし楽しみな一日になりますように。

縁
読みもの1本につき、印をひとつ。

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